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ベーチェット病とはどのような病気なのか

 

 

 

ベーチェット病の特徴

ベーチェット病は、1937年にトルコの医師のベーチェットが、ぶどう膜炎、口内炎、陰部潰蕩の症状のある患者さんをはじめて報告したためベーチェット病と呼ばれるようになりました。

 

日本では、1972年(昭和47年)に全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、スモン病とともに最初に治療費が免除になる厚労省特定疾患対策事業に指定された病気です。

 

当時の患者数は、8,000人程度で1991年には18,300人と報告されています。現在は16,000人程度と報告されていますが、近年は、新規の患者さんの減少とともに病気そのものも軽くなったことが報告されています。

 

患者さんの性別は、男女ほぼ同じですが、神経、血管、腸管ベーチェット病などの特殊型や難治性ぶどう膜炎などを有する重い症状は男性に多いと報告されています。

 

日本では北に多く南に少ないとの報告もあります。世界では、北緯30度から45度の地域に多くいわゆるシルクロードといわれた地域に多いことから「シルクロード病」とも呼ばれています。

 

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ベーチェット病の原因

ベーチェット病の病気の原因についてはいまだ不明ですが、皮膚過敏反応などの炎症反応の亢進と制御不全が指摘されています。ウイルス・細菌感染、特に溶連菌などによるアレルギー、免疫異常、環境汚染などの様々な複数の原因による多因子の病気と考えられています。

 

近年、これまでの免疫異常(獲得免疫)以外に自然免疫の研究が進み、ベーチェット病でも、獲得免疫異常に加えて自然免疫の異常について報告されるようになりました。すなわち、細胞膜に存在するTLR (Toll like receptor)という分子との関連が指摘され、ベーチェット病においてもTLR4の発現異常が認められるとの報告もあります。

 

さらに近年、細胞質内のインフラマソームと呼ばれる構成成分の異常により、ベーチェット病とよく似た症状を呈する自己炎症症候群という病気が報告され、ベーチェット病もそのなかの一つの種類ではないかとも言われています。

 

 

ベーチェット病の症状

ほとんどの患者さんに繰り返し口内炎が認められ(再発性アフタ性潰瘍)、80〜90%の患者さんに押すと痛い紅いしこりのある皮膚症状(結節性紅斑様皮疹)、皮膚の静脈に沿った血栓性静脈炎、ニキビと同様の毛嚢様皮疹などの皮膚症状が認められ、70%ぐらいの患者さんに虹彩毛様体炎、網膜ブドウ膜炎などの眼症状や外陰部潰瘍が認められることが報告されています。

 

これらの4つの症状は日本のベーチェット病診断基準の主要症状です。ちなみに、診断をする場合、これらの症状は経過を通じての症状ですべての症状が同時にみられなくてもかまいません。

 

口腔内再発性アフタ性潰瘍

国際ベーチェット病学会の診断基準では必須の所見とされています。多くの場合、同時に1〜数個出現し潰瘍周辺に粘膜の潮紅(紅暈)を伴います。境界が比較的明瞭な円形の小潰瘍で底面に黄白色苔を有します。

 

潰瘍は痛みを伴い1〜2週間で瘢痕を残さず治りますが、繰り返し再発することが特徴です。ベーチェット病のアフタ性口内炎は全身性エリテマトーデスの口内炎と比較して潰瘍の辺縁が明瞭で底部に黄白色苔を持つことが特徴です。

 

皮膚症状

結節性紅斑様皮疹は、下肢伸側によくできる痛みを伴う紅斑で、1〜2週間で瘢痕を残さず治りますが、口腔内アフタ性潰膓と同じようにたびたび再発します。

 

そのほか、血栓性静脈炎や毛のう炎様皮疹が認められます。毛のう炎様皮疹は、顔面、体幹、体の擦れる部分にニキビのような毛包性無菌性小膿疱として認められます。

 

また、注射針を刺した部位に24〜48時間後に同じような無菌性膿疱を認める場合もあり針反応陽性と呼ばれています。

 

眼症状

ベーチェット病の約70%に認められます。角膜や虹彩などの前部および網膜などの後部の眼症状に分類されます。

 

虹彩毛様体炎は前部の眼症状ですが、再発性でベーチェット病に比較的特贄肬の高い症状です。30〜35歳ぐらいの若い男性に発症することが多く重症例が多いことが報告されています。

 

多くは両眼性に認められます。ベーチェット病に特徴的な再発性前房蓄膿性ぶどう膜炎は角膜後面に認められる前房蓄膿ですが、再発性前房蓄膿性ぶどう膜炎によって虹彩後癒着を生じることがあります。

 

一方、後部眼症状の網膜ぶどう膜炎は、白斑、出血、浮腫混濁、静脈怒脹・蛇行、視神経乳頭発赤・腫脹、黄斑浮腫などを生じ、その結果、網膜血管の白鞘、狭小化、白線化、黄斑変性、黄斑孔、網脈絡膜萎縮、視神経萎縮を来す場合があり視力の予後に影響します。

 

 

ぶどう膜炎の原因は多様ですが、多くはベーチェット病などのように非感染性ブドウ膜炎とヘルペスなどのように感染性ぶどう膜炎に分類されています。ぶどう膜炎の大半を占める非感染性ぶどう膜炎のなかで、ベーチェット病、サルコイドーシス、原田氏病に伴うものが3大ぶどう膜炎といわれています。

 

すなわち、ベーチェット病のぶどう膜炎は、最も頻度の高いぶどう膜炎の一つですが、以前と比較した場合には、近年、新規患者さんの減少と病気そのものが軽くなったことが指摘されています。

 

外陰部潰瘍

外陰部に境界鮮明な潰瘍として生じますが、痛みを伴い口腔内アフタと異なり瘢痕を残して治癒することが多いようです。ヘルペス感染などを除き、外陰部潰瘍は他の病気ではあまり見られず、ベーチェット病での特異性が比較的高いとされています。

 

このような主症状の他に、ベーチェット病には副症状として関節炎、副睾丸炎、さらに腸管ベーチェット、血管ベーチェット、神経ベーチェットなどの特殊型があります。また、ベーチェット病の患者さんは、皮膚・粘膜が刺激を受けやすく針を刺した時に過敏に反応する針反応陽性の割合が高いことも知られています。

 

 

ベーチェット病の検査と診断

ベーチェット病の検査には特異的なものはありませんが、慢性の炎症性疾患ですので病気の悪化時には炎症時に亢進する赤沈、CRPや補体などの検査結果の異常が認められます。

 

白血球の型であるHLAのB51は、ベーチェット病患者さんに多くみられますが(50〜60%)、健常人にもみられます(15〜20%)。

 

したがって、HLA-B51が陽性だからといってベーチェット病と診断出来るわけではありません。その他のHLAではA26もベーチェット病に多いことが報告されています。

 

診断は、経過中に上記で述べた4つの主症状が認められる完全型のほか、主症状と副症状の組み合わせにより不全型、および疑いに分類されます。

 

そして、一般的に不全型以上をベーチェット病と考えます。また、生命にかかかるもの、あるいは後遺症を残す可能性のある腸管、大血管、中枢神経症状が主症状となる場合を特殊型とし、腸管型、血管型、神経型の3病型に分類されています。

 

腸管ベーチェット

腸管ベーチェットは、潰瘍性病変が主で病変部位は食道から直腸まで認められます。すなわち、食道、胃、回盲部、大腸に単発または多発性の潰瘍が生じ、典型的には回盲部に深ぼれ型の潰瘍を認めます。

 

腹痛、下痢、下血などの症状かおりますが、深い潰瘍のため穿孔も多くみられます。臨床的には虫垂炎との鑑別が必要となります。診断には内視鏡や注腸検査が行われます。

 

血管ベーチェット

血管ベーチェットは、男性に多く、血管の大きさに関係なく病変は生じますが、腹部や胸部、大腿部の動脈や静脈のような比較的大きな血管が障害され、それらの血管の分布する領域の症状が出てくる場合を血管型と呼びます。

 

動脈には動脈瘤や閉塞性病変を、静脈には血栓性病変を生じることが多く、動脈瘤破裂は生命に直接結びつき重症型といえます。

 

一般的に、ベーチェット病の動脈吻合部には仮性動脈瘤が生じる頻度が高く、動脈の血行再建術は極力控えるべきという意見もあります。診断には血管造影、MRA (MRIの血管造影)、超音波エコー、造影CT、肺血流シンチなどが行われます。

 

神経ベーチェット病

神経ベーチェット病には、病変の部位が脳実質もしくは非脳実質に存在しますが、脳実質病変の頻度が高いことが報告されています。

 

また、病変の進み具合により急激に病気が発症する急性型と病気が徐々に進んでいく慢性進行型に分類されます。急性型には頭痛、発熱などの症状が、慢性型には、人格障害、膀胱直腸障害、動作障害、運動失調などの症状が見られます。

 

MRI画像では、急性型では、脳幹、基底核にT2強調画像病変として描出されます。また、慢性進行型では、大脳および脳幹の萎縮などが認められます。なお、急性型では髄液の細胞数増多、蛋白増加とともにIL-6が著明に増加しますが、慢性型ではIL-6は持続的に異常値を示すことが報告されています。

 

 

また、シクロスポリンなどの治療中に急性型の中枢神経病変を来すこともあります。シクロスポリン使用中の患者さんが頭痛、発熱などを訴えられた場合には脊髄掖の検査やMRIなどの検査が必要です。

 

髄液所見で細胞数、蛋白の増加、MRIにて脳幹にT2強調像の所見が認められる場合には、急性型の中枢神経病変の可能性が高いので、ただちに、シクロスポリンを中止しパルス療法をはじめステロイド療法にて髄液所見およびMRI画像所見をチェックしながら経過を観察します。

 

 

ベーチェット病の治療

ベーチェット病には、多様な症状があり、病気の原因がいまだ解明されていない現状では、各々の症状に対して症状に合わせて治療(対症療法)が選択されます。

 

そのなかで、ベーチェット病に比較的よく使用される治療薬としては、痛風発作に使用されるコルヒチンや、網膜など後部眼病変に対して使用されるシクロスポリンなどがあります。

 

腸管型や血管型、神経型のような特殊型に関しては、主に副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤が使用されますが、腸管型における大腸潰瘍にはメサラジン(ペンクサ)、サラゾスルフアヒブジン(アザルフイジンEN)、慢性の神経型病変にはメソトレキサートなどが使用されます。

 

ベーチェット病の予後に重要な眼病変に対して、TNF阻害薬や眼内イングランド顆粒球除去、インターフェロン、サリドマイド、HPSペプチドなども国内外で臨床治験が行われて来ました。

 

そのなかで、TNF阻害薬がベーチェット病の治療薬として使用されるようになったのは、下記の理由からです。

  1. 健康成人に比較してベーチェット病患者さんの白血球(単核球)ではTNFの産生能が優位に高い。
  2. 病気が落ち着いている(寛解)状態にあるベーチェット病患者さんよりも皮膚病変や眼病変がある患者さんの単核球の方がTNFの産生能が高い。
  3. 活動性ブドウ膜炎のある患者さんの方が、健康成人や非活動性のベーチェット病に比較して優位にTNF産生能が高い。

 

現在、厚労省でも薬の販売後の調査結果などを参照し、TNF阻害薬の使用ガイドラインの作成を手掛けています。

 

さらに、TNF阻害薬は治療に難渋しているベーチェット病の特殊型にも有効であるとの報告もあり、現状ではまだ保険収載はされていませんが、今後、ベーチェット病の特殊型にも応用されることが期待されています。

 

 

ベーチェット病の日常生活の注意点

疲労やストレスなどにより病気が悪化することがあり、出来るだけストレスを軽減し、バランスの取れた食生活や規則正しい日常生活をするように気をつけることが必要です。

 

特に、病気の悪化を招く可能性がある喫煙は中止し虫歯、歯肉炎などの治療をけじめ口腔内の衛生に留意して清潔に保つようにする必要があります。

 

ステロイド、免疫抑制薬、TNF阻害薬などは感染症のリスクをはじめ多様な副作用がありますので、個々の薬の作用と副作用をよく理解しておくことが必要です。薬の中止により病気が悪化する場合もあり、服薬の自己中止を決してしないで、そのような場合には必ず担当医と相談するようにしてください。

 

なお、シクロスポリンやタクロリムス使用中に頭痛、発熱などが生じた場合は、服薬中止の後、担当医に至急連絡するようにしてください。

 

介護の立場からは、まず、視力障害による転倒に注意が必要です。また、痴呆などの精神症状による徘徊などの異常行動や胸痛などベーチェット病の異なる特殊病型の症状、さらには、骨粗しょう症による骨折などの薬の違いによる症状など各リスクに応じた看護・介護が必要です。

 

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