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高安動脈炎とはどのような病気なのか

 

 

 

高安動脈炎の特徴

血管の壁の中に、白血球が侵入して炎症をおこすものを血管炎と言います。高安動脈炎は、大動脈とその大きな枝(総頸動脈、鎖骨下動脈、腎動脈など)に炎症がおきることが特徴です。

 

日本人の若い女性に多いことも特徴であり、日本に数千人、9割が女性、40才までの発症が多いといわれています。その一方で、気づかれないまま受診していない人達が、その10倍近くいるとも推定されています。

 

このことは、「内臓障害が出ない病気なので気づきにくい」「自然に進行がとまることも多い」「直接の死因にはなりにくい病気である」ことと関係しています。

 

そして、血管が狭くなる前に画像診断できる方法(CT、MRI、さらにPETという検査)が発達するにつれ、高齢で発症することも珍しくないことが分かってきました。80才代で発症して早期発見されることも、珍しいことではありません。

 

高安動脈炎を診断することは、必ずしも簡単ではありません。早期なら健康人と同じ状態に戻すことも可能ですが、進行してからみつかっても、生命に関わる重大な病気と思う必要もありません。医師と相談して安全な方法を選ぶのが大切です。

 

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高安動脈炎の症状

高安動脈炎は大動脈の壁が、肥厚して内腔が狭くなること、枝では狭いだけでなく血流が途絶することが主な病態です。もうひとつ、壁の中間層(中膜)が脆弱になって血管が膨らみ、動脈瘤をつくることもあります。

 

頸動脈が局部的に盛り上がって目にみえることがよくあります。血流が途絶えたら、腕が壊死しそうに思えますが、実際は長い月日の間に、細かい血管(側副血管)がたくさん発達して血流を補うので、脈は触れないのに見かけの血行不良は無いということになります。

 

また、脳に行く太い血管は、脳の前後、左右の領域に、補うように血流を行き渡らせるので、脳梗塞になることも滅多にありません。

 

多くの血流が必要になったとき、または血圧が急に下がると血流不足の症状が出ます。人によって、侵される血管の部位が違うことが、異なる症状にあらわれます。

 

 

血管の狭窄に至らない初期には、壁の中で炎症がおきていることを反映しで微熱〜高い熱、倦怠感、血管痛(後頭部、肩など)がみられます。炎症のために貧血がおき、同時にアルブミンという血清蛋白が減るためにむくみ(浮腫)がでることもあります。

 

 

血管狭窄がないこの時期では、何故むくむのか理由がわからない、炎症によると判明してもどこに炎症があるのかわからないということになります。

 

前述のように大きな動脈瘤が目にみえる、またはX線検査でわかることがあります。人によっては、虚血または網膜の微小動脈瘤が生じて視力異常を感じ、眼科医が眼底検査して網膜異常がわかることがあります。

 

腕に向かう主幹である鎖骨下動脈が途絶えると、手首の脈が触れない、腕で血圧が測れない、腕の運動で鈍痛をおこすことになります。腕も下肢も、運動のときは多くの血流を必要とし、これが供給されないと痛みを感じます。

 

脳に向かう主幹のひとつである椎骨動脈が血流不足になっていると、腕の運動時に鎖骨下動脈を通じて腕の血流が増えるために、脳への血流の分け前が減って失神することがあります(鎖骨下動脈盗血症候群)。それでも、脳梗塞は滅多におきません。しかし、何らかの手術などのときに急な血圧低下をおこす特別な場合は、脳梗塞もあり得ます。

 

 

大動脈が狭くなると、血流を押し出す心臓に余分な圧力がかかります。そのために大動脈弁閉鎖不全(逆流)をおこし、心雑音を生じます。これが続くと心不全(息切れ、頻脈、むくみ)に至ることがあります。大動脈の始まり部分に壁肥厚がおきると、そこから枝分かれする冠動脈に血流不足を生じて、狭心症をおこすことがあります。

 

 

大動脈は、腹部で様々な内臓に枝を出しますが、腎動脈もそのひとつです。腎は老廃物を尿に捨てるだけでなく、血流が減ると、体全体の血圧を高める作用をもつ物質を出します(この反応が恒常的におきている場合、腎血管性高血圧と呼ばれ、様々な原因があります)。

 

 

高安動脈炎による血流障害は(小さな動脈の血管炎と異なり)、流域内臓の障害をまずおこさないので、症状を示しませんが、腎動脈の血流低下では、高血圧という間接的な現象をおこすことになります。

 

高血圧が、健康に悪いごとに周知のことです。ところが高安動脈炎では、腕の血圧が測れない、測れても低い数値なので高血圧に気づかないということもおきます。したがって、高安動脈炎を正しく診断して、腎動脈の狭窄の有無を調べることが必要です。下肢の血圧が高いことに気づく場合もありますが、下肢の血圧も正しく測れないことがあります。

 

 

腹部大動脈が狭くなると、下肢に流れる血液が不足するので、「歩行すると足が痛み、休むとまた歩ける」ことがおきます。間欠性跛行と呼ばれるこの症状は、血管の病気のためでなく高齢者の脊柱管狭窄でおきることもあり、血流不足なら多くが動脈硬化によって壮高年者におきます。

 

 

 

高安動脈炎の検査と診断

まず初期の場合ですが、診察で脈もふつうに触れ、血圧も左右が正常、首や鎖骨上の血管雑音(頸動脈、鎖骨下動脈の狭窄)もない、という段階です。若年者の肩〜後頭部の痛みは筋緊張、倦怠感は病気でないかもしれないと思われがちです。

 

検査で貧血があれば、とくに女性は鉄欠乏性貧血とみなされやすいですが、何らかの症状があれば炎症反応(赤沈、CRP)を測ったり、貧血があれば原因を調べるということでまず異常事態に気づきます。

 

 

高齢者では、熱、倦怠、体重減少などが、まず癌を連想させます。何故なら、診察、血液、尿、胸部X線検査で、病巣が分からないような炎症は、内臓の隠れた病気による可能性が高いからです。しかし上記のすべてが、実ぱ血管壁の炎症巣によると診断する方法は、造影剤を使ったCT、MRI、PETです。

 

 

次の段階で、血管狭窄による症状があれば、高安動脈炎は分かりやすい病気です。さらに進むと、すでに炎症反応が消えていることもあり、心不全、狭心症、高血圧から副次的に生じた諸病態などがみられ、とくに高齢者では高安動脈炎の結果であることが分かりにくいこともあります。このとき、大きな血管の画像検査をすれば動脈硬化との区別がつきます。

 

 

 

高安動脈炎の治療

初期の段階で、または進んでからでも、炎症反応があれば、ステロイド薬(おもな商品名はプレドニン)を内服します。炎症は、プレドニン20〜30 mg/日で、ほぼ消失します。

 

これで血管狭窄の進行を防げると期待できるのですが、実際は、薬を減らすと炎症が再燃することが多いのが問題です。ステロイド薬を長期に大量にのむと、間違いなく副作用が出ます。

 

高安動脈炎は、診断されなくても死亡につながり難いことを考え、炎症の抑制と副作用の妥協点をみつけるという難しい選択になります。最善の方法は知られていないので、一律にステロイド治療法を述べることができません。

 

心不全、狭心症には、高安動脈炎に限らない一般的な保護的治療をします。腎動脈の狭窄には、放射線科または循環器科による機械的な拡張術が有効な場合があります。これは高血圧による障害を防ぐためです。

 

失神を伴う脳血流不足では、血管外科による血行再建術を行なうことがあります。

 

 

高安動脈炎の日常生活の注意点

腕を動かすと、失神までおきなくても、クラッとするという人は、水泳は非常に危険、車の運転も危険です。高血圧は、早いうちに拡張術をすべきかどうかを決める必要があります。

 

 

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