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顕微鏡的多発血管炎とはどのような病気なのか

 

 

 

顕微鏡的多発血管炎の特徴

顕微鏡的多発血管炎は血管炎の一つです。血管炎とは血管の壁の炎症をきたす病気の総称です。そのうち血管炎そのものを起こすものを原発性血管炎と呼び、炎症を起こした血管の大きさに基づいて、大型血管炎、中型血管炎、小型血管炎に分類されます。

 

顕微鏡的多発血管炎は小型血管炎に属して、細動脈・毛細血管・細静脈の壁に壊死を起こします。特に小動脈にも炎症が及びます。

 

顕微鏡的多発血管炎は侵される血管の大きさだけでなく、病気のマーカーという点でも結節性多発動脈炎と大きく異なっています。

 

それは、抗好中球細胞質抗体 (ANCA)という自己抗体が顕微鏡的多発血管炎の患者さんで特徴的に検出され、疾患標識抗体(マーカー)と呼ばれているという点です。

 

ANCAは、主として好中球細胞質の顆粒中の抗原に結合する自己抗体です。ANCAにはミエロベペルオキシターゼ(MPO)に結合するMPO-ANCAと、ブロディテーゼ3 (PR3)に結合するPR3-ANCAとがあります。顕微鏡的多発血管炎で検出されるのはMPO-ANCAです。

 

 

顕微鏡的多発血管炎のほかにもANCAが陽性になる血管炎があります。アレルギー性肉芽腫性血管炎とウェゲナー肉芽腫症です。アレルギー性肉芽腫性血管炎ではMPO-ANCA、ウェゲナー肉芽腫疱ではPR3ANCAが陽性となります。

 

このアレルギー性肉芽腫性血管炎とウェゲナー肉芽腫症および顕微鏡的多発血管炎の3つの血管炎は、いずれも小さな血管を侵しANCAが共通の疾患標識抗体であることから、ANCA関連血管炎と総称されます。この中で顕微鏡的多発血管炎が、わが国では最も多いANCA関連血管炎です。

 

 

これまで結節性多発動脈炎と顕微鏡的多発血管炎は、日本では結節性多発動脈炎として一括して厚生労働省特定疾患として認定されてきました。2008年度の結節性多発動脈炎の医療受給者証交付件数は6,400件を超えました。

 

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顕微鏡的多発血管炎の症状

全身の小型の血管に炎症をきたすため、炎症に伴う全身症状と、全身局所の臓器症状とが認められます。全身症状として発熱、食思不振、体重減少や、筋肉痛、関節痛などがみられます。その頻度は、欧米の顕微鏡的多発血管炎の患者さんのデータでは、70〜80%と報告されています。

 

 

臓器症状では全身の障害された臓器の症状がみられ、皮膚、腎、肺、消化器、心臓、中枢神経、末梢神経と多臓器にわたるのが特徴ですが、特に腎と肺に好発します。なかでも、腎が最も高頻度に障害され、欧米の報告では80〜100%です。

 

 

高度の糸球体腎炎が起き、腎機能が障害され、むくみなどが見られます。肺や胸膜の小さな血管にも血管炎が起きるため、間質性肺炎、肺胞出血、胸膜炎をきたし、呼吸困難や喀血が見られます。その頻度は25〜55%です。

 

皮疹は40〜60%に見られ、丘疹、紫斑、網状皮斑、皮膚潰蕩、指端壊死がよくみられますが、特に下腿に好発する隆起した紫斑が特徴的です。

 

消化管は30〜55%の患者さんで障害され、消化管潰蕩や消化管出血をきたし下血を起こします。末梢神経の障害は多発性単神経炎の形で発症し、しびれや運動麻痺を起こします。15〜20%で見られますが、60%という報告もあります。

 

心臓は10〜15%で障害され、心筋炎や不整脈を呈します。結節性多発動脈炎と異なり、高血圧を起こすことは多くありません(20〜35%)。ウェゲナー肉芽腫瘤と異なり、眼や耳鼻咽喉の症状は少なく、それぞれ20〜30%程度です。

 

このように、顕微鏡的多発血管炎と結節性多発動脈炎は、共に類似した症状を示しますが、侵す血管も病気の原因も異なった別個の疾患と考えられています。

 

 

顕微鏡的多発血管炎の検査と診断

顕微鏡的多発血管炎では、CRP上昇や赤沈亢進など、非特異的な炎症反応を呈します。糸球体腎炎をきたすと血尿、蛋白尿が見られ、さらに腎臓の機能が急激に悪化すると血清クレアチニンの値が急上昇します。

 

病気の勢いに一致してMPO-ANCAが検出され、高値を呈します。 MPO-ANCAの陽性率は50〜75%と報告されています。

 

顕微鏡的多発血管炎の確定診断および治療法の決定には生検が必要です。皮膚・筋肉・神経・腎・肺など症状の出た臓器が対象となり、そこに特徴的な組織所見を認めます。

 

腎臓では半月体を伴った壊死性糸球体腎炎が認められ、そこに免疫グロブリンなどの沈着が見られないことが特徴です。

 

皮膚では小さな血管の周囲に、破砕された白血球の核片が集族する血管炎が見られます。筋肉では間質の小さな血管に壊死性血管炎を認めます。

 

画像検査では胸部CT検査で肺胞出血平間許肬肺炎の画像が検出されます。結節性多発動脈炎と異なり血管造影は正常です。

 

顕微鏡的多発血管炎の診断は、厚生省の診断基準が用いられます。症状の項で述べた2項目以上の症状がみられ、かつ、特徴的な組織所見のある患者さんでは診断確定です。

 

また、腎臓と肺の特徴的な症状とMPO-ANCA陽性が認められる患者さんも、顕微鏡的多発血管炎と診断されます。

 

診断の確定した患者さんでは、さらに、重症度と病型の評価を行います。重症度により重症例・最重症例・軽症例に分類されます。重症例はさらに全身性血管炎型、肺腎型、急速進行陛糸球体腎炎(RPGN)型に分類されます。また、最重症例や軽症例もいくつかの蜴型に分類されます。この重症度・病型による分類は、治療法の選択の基準にもなります。

 

 

顕微鏡的多発血管炎の治療

顕微鏡的多発血管炎の治療の面では、欧米におけるランダム化比較対照試験により、優れた医学的根拠に基づく治療法が確立しました。

 

まず疾患活動性(病勢)を抑えて寛解を導入するための治療法を行います(寛解導人療法)。寛解とは血管炎の活動性が完全に抑制されて。血管炎による症状が(後遺症以外には)見られなくなった状態です。

 

その後、得られた寛解を維持するための治療法を長期間にわたって行います(寛解維持療法)。

 

重症例のうち全身性血管炎型、肺腎型における寛解導入療法は副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬の併用療法が基本です。プレドニソロンの経口投与を行いますが、症例によりメチルプレドニソロンバルス療法も行ないます。

 

免疫抑制薬としてシクロホスファミドの経口投与、あるいは、大量間欠静注療法を行います。高齢者や感染のリスクの高い症例では投与量を臧らしたり、血漿交換療法を併用したりすることがあります。

 

重症例のうち急速進行性腎炎型では、個別に異なった治療法を行います。症例によっては、さらに抗凝固療法や抗血小板療法を併用することがあります。最重症例では、重症例の治療に加えて、血漿交換療法を併用します。

 

軽症例では、少量のブレドニソロンの経口投与を原則とします。適宜、免疫抑制薬の経口投与を併用し、時に抗凝固療法や抗血小板療法を併用します。

 

寛解に至った患者さんに行う寛解維持療法は、すべての病型で共通です。原則として初期治療後6カ月〜2年間プレドニソロン5〜10mg/日の経口投与が続けられ、難治冷例ではシクロホスフアミドまたはアザチオプリン25〜75mg/日の経口投与が併用されます。維持療法においては、病気の再発と副作用の出現に留意します。

 

 

顕微鏡的多発血管炎の日常生活の注意点

標準的な寛解導入療法により90%の患者さんで寛解が得られるようになりました。

 

また、標準的な寛解維持療法により再発も少なくなりましたが、それでも18ヵ月で10〜20%、7年間で30〜35%の患者さんで再発が見られるため、長期間にわたって専門医の診療を受ける必要があります。

 

再発防止には定められた治療薬の継続が重要です。

 

一方、専門医の指導のもとに合併症の予防にも留意する必要があります。長期の免疫抑制療法に伴う合併症の一つに感染症がありますが、通常の細菌性肺炎に加え、ニューモチスティス、真菌、結核菌などの感染に注意する必要があります。時に、これらの感染予防のためのST合剤、抗真菌薬、抗結核薬などの予防薬の内服等を行うことがあります。

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