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混合性結合組織病とはどのような病気なのか

 

 

 

混合性結合組織病の特徴

膠原病にはしばしば1人の患者に2つ以上の病気が同時に出現することがあります。特に、全身性エリテマトーデス(SLE)強皮症多発性筋炎・皮膚筋炎はお互いに介併しやすく、これらの病気を同時に、あるいは時間をおいて合併する場合をオーバーラップ(重複)症候群とよんでいます。

 

 

混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease: MCTD)は、1972年に米国で提唱された病気の考え方で、臨床的にSLE様、強皮症様、多発性筋炎様の症状が混じりあい、かつ血液中に抗U1-RNP抗体(または抗RNP抗体)とよばれる自己抗体が陽性となる病気です。

 

 

今日では一般に混合性結合組織病はオーバーラップ症候群の中の1つの病型と考えることが多いようです。日本では厚生省が1982年に混合性結合組織病の調査研究班を組織して全国的な研究が始まり、1992年には特定疾患に認定されました。

 

混合性結合組織病の患者さんを長期にわたり観察すると全身性エリテマトーデスや筋炎症状は改善し、強皮症様症状のみが残ることから、混合性結合組織病を強皮症の1つの病型とする説もあり、特に米国ではこの考えが長く支持されていました。

 

また、混合性結合組織病を強皮症に至る一時期の病態と考え、定型的な病像が完成するまでは、未分化結合組織症候群という名称を用いるべきとする意見もありました。

 

しかし、近年は再び混合性結合組織病を独立した病気とみなす動きが海外でも見られます。日本では混合性結合組織病は特定疾患に指定されていることもあり、混合性結合組織病の名称は診断名として広く用いられています。

 

厚生省が行った1993年全国調査によれば推定患者数は全国で3,000人でしたが、1999年全国調査では6,840人と増加しており、厚生労働省の特定疾患医療受給者としては2007年度に8,288人が登録されています。

 

性別では男女比は1:13〜16と圧倒的に女性に多く、年齢では30〜40歳代の発疱が多いが、小児から高齢者まであらゆる年齢層に見られます。

 

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混合性結合組織病の原因

混合性結合組織病の原因は不明です。しかし他の膠原病と同様に遺伝的素因(病気になりやすい体質)と環境因子が発疱に関与するものと考えられています。

 

ただし、注意害必要なのは、病気そのものが遺伝したり、他人に感染するような病気ではないということです。

 

混合性結合組織病は自己免疫疾患とも呼ばれ、本来なら細菌やウイルスなどの外来性の異物を排除するはずの免疫機能が自分自身の体に向いてしまう病気の一つです。

 

自己免疫疾患では自分自身の体を構成する様々なタンパク質に対する抗体(自己抗体)が見いたされますが、混合性結合組織病ではU1-RNPと呼ばれる細胞核成分に対する自己抗体(抗核抗体)が血液中に見られることが特徴です。

 

抗U1-RNP抗体そのものが病気を引き起こすのかどうかについては、はっきりした結論は出ていません。抗U1-RNP抗体は混合性結合組織病だけでなく、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎などの他の膠原病にも少なからず検出されることがあります。

 

 

しかし、このような抗U1-RNP抗体陽性例はレイノー現象や手の腫脹が高頻度にみられ、重症の臓器病変が少なく関節炎などの炎症症状が多いなど、一見して混合性結合組織病と共通する症状が多いため、混合性結合組織病の病態はU1-RNP抗体の存在と密接に関係していると考えられています。

 

 

混合性結合組織病の症状

レイノー現象

レイノー現象は混合性結合組織病の初発症状であることが多く、ほぼ全例に認められます。手指動脈の一時的なれん縮によるもので、手指の皮膚が真っ白になり、チアノーゼ(紫色)を経て数分から数10分で正常の色調に戻ります。寒冷刺激や精神的緊張によって誘発されることが多く、冬によく見られます。

 

 

手指と手の腫脹

ソーセージのような手指の腫れ(指輪がはめにくくなる)や手背の腫れは混合性結合組織病に特徴的であり高頻度(約70%)に見られます。同様の手の腫脹は強皮症の初期の浮腫期にも見られますが、混合性結合組織病では病気のどの時期にも認められます。

 

全身性エリテマトーデス様症状

全身性エリテマトーデスを思わせる症状として、発熱、顔面紅斑(蝶型紅斑)、リンパ節腫脹、多発関節炎、漿膜炎(胸膜炎および心外膜炎)が見られます。関節症状は特に頻度が高く、時に関節リウマチと区別のつかない慢性の関節炎をきたす場合があります。

 

腎炎症状(持続性蛋白尿)は約20%に認められますが、重症のネフローゼ症候群や腎不全に至ることはほとんどありません。

 

強皮症様症状

強皮症を思わせる症状として、手指に限局した皮膚硬化(手指硬化症、強指症)、間質性肺炎(空咳、息切れ)、食道の動きの低下(胸やけ、逆流性食道炎)が、比較的高頻度に認められます。

 

しかし、肘を越える皮膚硬化や、強皮症腎、強皮症心などの重度の 臓器症状はほとんど見られません。

 

筋炎様症状

多発性筋炎を思わせる所見として四肢の体に近い部位の筋通や筋力低下(階段昇降やしゃがみ立ち困難、重い物を持てなくなる)を認めることがあり、血液中のクレアチンキナーゼ(CK)などの病原性酵素上昇を伴うことがあります。

 

しかし、高度の筋症状は混合性結合組織病ではまれとされます。

 

肺高血圧症

肺高血圧症は、日本での調査によれば混合性結合組織病の4〜10%に合併し、最も重要な臓器病変です。間質性肺炎がないか軽度の例にも発症し、進行すると動悸、労作時息切れ、胸痛(胸骨後部痛)を訴え、特徴的な胸部X線所見が認められます。かつては進行性、治療抵抗性ともに予後不良とされていましたが、現在は治療法が確立しています。

 

 

無菌性髄膜炎

まれですが混合性結合組織病で無菌性髄膜炎が見られることがあります。消炎鎮痛薬(イブプロフェン、ジクロフェナク、スリンダクなど)による薬剤比髄膜炎が多いとされますが、混合性結合組織病自体が原因で起こる無菌性髄膜炎も知られています。

 

 

混合性結合組織病の検査と診断

抗U1-RNP抗体は混合性結合組織病では必須の検査所見であり、臨床症状が似ていても抗Ul-RNP抗体が陰性だと、混合性結合組織病とは診断されません。

 

病気の活動時には約半数に白血球減少を認め、時に血小板減少を示すことがあります。筋原性酵素(CK、GOT、LDH、アルドラーゼ)は約1/3で上昇しま卞。全身性エリテマトーデスでは活動期にCRPは高値を示さないとされますが、混合性結合組織病では赤沈値、CRPともに高値を示します。

 

 

抗核抗体は全例で高値陽性となります(抗U1-RNP抗体のため)。高γグロブリン血症、リウマトイド因子の頻度は高く、全身性エリテマトーデスで見られるLE細胞、抗リン脂質抗体、抗DNA抗体(高値はまれ)も時に認められます。

 

胸部X線検査では30〜50%に間質性陰影(間質性肺炎)が認められます。胸部CT検査ではX線上の変化が明らかになる以前から間質性変化が見られます。

 

肺高血圧症の診断のためには心臓超音波検査や心臓カテーテル検査が行われます。超音波検査は負担は少ないですが、確定診断にはカテーテル検査が必要です。

 

混合性結合組織病の診断のためには、全身性エリテマトーデス、強皮症、筋炎を思わせる症状と検査所見に加えて、血液検査で抗U1-RNP抗体が陽性と証明されることが必要です。厚生労働省が診断の手引きを作成しており、通常はこの手引きに沿って診断がなされます。

 

 

混合性結合組織病の治療

混合性結合組織病の治療は病態と臓器病変の程度に応じた副腎皮質ステロイドが基本的治療薬となります。ただし全身性エリテマトーデス ・ 筋炎様症状には有効ですが、強皮症様症状への効果は期待できません。したがって、混合性結合組織病の治療はその症状や病態に応じたきめ細かい治療が必要です。

 

 

レイノー現象の治療

レイノー現象の確立した治療薬は開発されていないため、保温や禁煙などの生活指導が第一です。特に喫煙は受動喫煙も含めて避ける必要があります。

 

一般にはレイノー現象のみでは治療の対象にはなりませんが、頻発して皮膚潰瘍をきたす場合には血管拡張薬(ビタミンE製剤(ユペラニコチネート)、カルシウム拮抗薬、プロスタグランジン製剤)が有効な場合があります。

 

難治性の皮膚潰瘍や壊死を伴う重症例では、プロスタグランジン(PG)製剤の内服(プロサイリン/ドルナー、プロレナール/オパルモン)または、点滴静注(グロスダンディン、パルクス/リプル)や、抗血小板薬(少量アスピリン、プレタール)など、抗セロトニン薬(アンプラーゲ)を併用します。薬物療法が無効の場合は交感神経ブロックも試みられます。

 

 

軽症〜中等症例の治療

発熱、関節炎、胸膜炎、軽症筋炎など、軽症ないし中等症の場合には、プレドニゾロンを10〜30mg/日を用います。初期量を2〜4週間使用後、症状や検査所見の改善を見て、1〜2週に10%程度ずつ漸減していきます。 5mg程度の維持量をめざしてゆっくり減らしていきます。

 

関節リウマチ様の慢性関節炎には抗リウマチ薬(リウマトレックスなど)を用います。

 

重症例の治療

出血傾向を伴う血小板減少症、ネフローゼ症候群、重症筋炎、間質性肺炎急性増悪、中枢神経症状などの重篤な症状は混合性結合組織病ではまれですが、時に認めることがあります。PSLを1mg/kg (40〜60mg)/日を初期量として2〜4週間投与後、症状や検査所見の改善を見て、1〜2週に10%程度ずつ漸減します。

 

経口大量投与で充分な効果が得られない場合には、ステロイドパルス療法が用いられます。

 

ステロイドのみで効果が十分でない場合や、重篤な副作用のためにステロイド大量投与ができない場合には、免疫抑制薬を併用します。

 

肺高血圧症の治療

近年の肺血管拡張薬の開発によって肺高血圧症の治療は大きく進歩しました。

 

ステロイドや免疫抑制薬は疾患急性期や早期には効果を示すこともあり、一度は試みる価値があります。しかし、慢性期や進行例では効果は期待できません。在宅酸素療法も進行期には行われることがあります。

 

症状のある肺高血圧症では重症度に応じて、プロスタサイクリン誘導体、エンドセリン受容体拮抗薬といった薬が用いられます。

 

プロスタサイクリンは強力な血小板抑制作用、血管平滑筋弛緩による血管拡張作用、血管透過性抑制作用を示す生理活性物質で、重症進行例ではフローラン持続静注療法が高い効果を上げており、予後の改善が期待できます。

 

肺高血圧症の発症または進展に血栓塞栓症が関与している場合には抗凝固療法や抗血小板薬が用いられます。

 

 

混合性結合組織病の日常生活の注意点

喫煙はレイノー現象や間質性肺炎に悪い影響を及ぼすので、受動喫煙を含めて禁煙が最も大切です。特に皮膚潰瘍がある場合には喫煙は厳禁です。

 

薬は決められた通りに服用することが大切です。特にステロイドは急に減量したり中止すると病気がぶり返したり、具合が悪くなることが多いので、医師の指示をよく守ってください。肺高血圧症の治療薬も急に中止すると症状が悪化することが多いので、副作用が出ても急には止めずにまず医師に相談することが重要です。

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