膠原病の症状をチェック | 膠原病症状ナビ

スポンサーリンク

全身性エリテマトーデス(SLE)とはどのような病気なのか

 

 

 

 

全身性エリテマトーデス(SLE)の特徴

全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)は、自分の細胞の中の分子に対して免疫反応が起こるという、いわゆる自己免疫の現象を基に、幾つかの臓器が障害を受ける炎症性の疾患です。

 

日本の全身性エリテマトーデスの患者数は、2008年の特定疾患登録者数が約6万人ですので、それより多いと推定されています。発症は20〜40才代に最も多く、1:9の割合で女性に圧倒的に多い病気です。女性に多いのは、多くの自己免疫疾患と同様に性ホルモンの関与が示唆されています。

 

 

全身性エリテマトーデスの病状は極めて多彩で、ほとんど治療を必要としない状態の方から、生命の危険のある重症の方までさまざまです。

 

全身性エリテマトーデスの病因は残念ながら未だ良く分かっていません。 この病気になりやすい遺伝的要因に感染、ホルモン、紫外線などの環境要因が働いて発症すると考えられています。遺伝的な関与は、例えば一卵性双生児の片方の方が全身性エリテマトーデスになった場合、もう片方の方が発症するのは約25%とされていることからも示されています。

 

 

ただし、全身性エリテマトーデスはいわゆる遺伝病ではありません。他の膠原病や高血圧、糖尿病などと同じで、疾患に関連する遺伝子が幾つか積み重なって、それぞれの個人の病気になりやすさが決まっているのだと考えられています。

 

 

そして、全身性エリテマトーデスの患者さんの体には、自己の成分と反応する抗体(自己抗体)が出現します。この病気で最も多い自己抗体が抗核抗体と呼ばれるもので、細胞の中の核成分と反応します。

 

これらの中で特に、抗DNA抗体(DNAに対する抗体)や抗Sm抗体(核の中のSmという蛋白に対する抗体)はSLEに特徴的です。

 

こういう抗体とそれが反応する分子(抗原)とが結合し、免疫複合体と呼ばれる分子のかたまりが体の組織に沈着して炎症を引き起こし、病変を作っていくのではないかと考えられています。ただし、これだけでなく別のメカニズムにより病変が作られる可能性もあると考えられています。

 

 

【スポンサーリンク】

 

全身性エリテマトーデスの症状

全身性エリテマトーデスでは、発熱、全身のだるさ、体重減少などの症状とともに下記に述べるいろいろな臓器の症状を呈します。下記に述べるのは典型的な症状ですが、それ以外のものや非典型的な症状のこともあります。

 

皮膚・粘膜症状

鼻から頬にひろがる蝶の形をした紅斑がSLEに特徴的です。蝶形紅斑と呼ばれます。

 

痒みがないのが特徴的です。しかし、これだけでなく、日光過敏症や耳や頭部、顔面に見られる瘢痕を残すディスコイド疹、口の中の潰瘍などの症状もあります。

 

寒いところで手の先が白くなり、紫になったあと血管の拡張から赤くなる、レイノー症状も約半数近くの患者さんに見られます。

 

腎臓

全身性エリテマトーデスのLのlupus (ループス)が病気を表す言葉として使われることもあり、この病気の腎臓の病変はループス腎炎と言われることもあります。

 

腎病変は自覚症状がほとんどないことが多いですが、蛋白尿が続いて体の中の蛋白質が少なくなるネフローゼ症候群になったり、腎臓の機能が低下して腎不全になると透析が必要となることがあります。

 

腎臓の病変は多彩で、軽症から強力な治療が必要な場合もあり、血液と尿所見だけで判断出来ない場合は、腎臓に針を刺して組織をとって検査する、いわゆる腎生検が必要になることもあります。

 

中枢神経症状

けいれん発作や精神症状などのいろいろな症状を呈することがあります。精神症状と しては、意識障害、躁うつ状態、幻覚、妄想、感情障害などさまざまな症状を呈することがあります。その他、脳出血、脳梗塞、髄膜炎、脳炎、脊髄炎などの症状が見られることもあります。

 

心臓、肺の症状

肺の外側に水がたまる胸膜炎、肺自体に炎症が起こる急性間質性肺炎、心臓の外側に水かたよる心外膜炎などがあります。胸の前が痛いなどの症状が見られることもあります。

 

関節の症状

多くの患者さんで関節痛、関節炎の症状があります。

 

血液の検査異常

白血球、リンパ球、血小板、赤血球などの血液の中の成分が減少することがあります。白血球やリンパ球が減少すると感染症に罹りやすくなり、血小板が減少すると出血しやすくなり、皮膚には紫斑と言われる青あざが出来ます。赤血球が減少すると貧血になります。

 

抗リン脂質抗体症候群

血液の中の凝固に関係した分子に対する自己抗体が出来て、動脈や静脈に血栓が出来たり、流産をしやすくなったり、血小板が減少したりすることがあり、これを抗リン脂質抗体症候群と呼びます。この症候群が全身性エリテマトーデスでは一緒に起こることがあります。

 

 

全身性エリテマトーデスの検査と診断

検査には、診断の為の検査、病気の状態を調べる為の検査、活動性を知って治療の参考にする検査などがあります。

 

全身性エリテマトーデスの診断は1982年にアメリカリウマチ学会が作った基準が長年使われて来ています。最近これを改訂する動きもありますが、基本的な部分は変わらないと思われます。

 

これは、顔の紅斑や光線過敏症、口の中の潰瘍、関節の炎症等の症状、レントゲンなどで分かる胸膜炎や心外膜炎、腎病変を現す蛋白尿などの尿の所見、神経症状、血液の成分の異常、抗核抗体やDNAなどに対する自己抗体などの陽性所見が4つ以上あることで診断するものです。従って診断の為には、診察だけでなくこれらを検査する必要があります。

 

 

病気の状態を調べる検査としては、例えば腎臓ですと、先に述べたように、必要に応じて腎臓に針を刺して組織をとり顕微鏡で調べる検査、すなわち腎生検をすることがあります。

 

神経症状がある場合は背中に針を刺して脳脊髄液を調べたり、脳波、CT、MRIの検査などを組み合わせることもあります。その他、消化管、膀胱、眼など全身に症状がでる可能性がありますので、それぞれに応じて病気の状態を把握するための検査を行います。

 

 

活動性や治療による反応性の判断には、もちろん熱や皮膚症状などの症状も重要ですが、検査としては、赤血球沈降速度(赤沈)、補体の量、抗DNA抗体の値、尿検査、血液検査などを定期的に測定して変化を見ることが普通です。

 

 

全身性エリテマトーデスの治療

現在の全身性エリテマトーデスの治療は副腎皮質ステロイド(以下ステロイド)が中心です。これは免疫と炎症を抑える為の必須の薬です。ステロイドが使われるようになり重症の症状もコントロール可能となりつつあり、生命予後も格段に改善しました。

 

しかし、長期に使うと高血圧、糖尿病、高脂血症、感染症、骨粗鬆症、消化管潰瘍などの副作用が出てくる可能性があるので、これらの対策をしっかりしながらの治療が重要です。また、ステロイドに反応が良くない難治性の病態もあり、より強力な治療が必要なことがあります。

 

 

重要な臓器病変を伴っている時は、大量のステロイドが必要です。中くらいの症状の時は中等量、軽い場合は少量か、ステロイドを使わないことがあります。

 

これらの量のステロイドを十分に使って、症状、病勢をきちんと抑制して(これを寛解状態と言います)、ゆっくり減量していき、症状、活動性が再び出てこない最小の量まで下げ、これを当分の間飲み続けるのが普通です。これを維持療法と言います。

 

 

維持療法を十分にしないと、再発率が高くなり、再び大量のステロイドを投与するということを繰り返さなくてはいけないことになります。そうすると副作用の確率も増えてしまうという状態になることが多いので、しっかり維持療法を行うことが重要です。

 

ステロイドの服用は口からの錠剤が基本ですが、病気の活動性が高く、早くステロイドが効いてくれることが必要な場合は、パルス療法と言って、大量のステロイドを点滴することがあります。

 

ステロイドは、短期間であれば大量に使っても安全性は高いので、必要な時には、時期を逸せずに治療を開始することが重要です。そして通常は3日間の点滴の翌日から、経口での服用を続けることがほとんどです。

 

重要な臓器病変があり病気の活動性が高い場合、ステロイドの効果が見られない場合、重篤な副作用でステロイドを沢山使えない場合などには、ステロイド以外の免疫抑制薬を併用することがあります。

 

アザチオプリン、シクロフォスファミド、ミソリビン、タクロリムス、シクロスポリンなどの薬です。重症のループス腎炎の場合には、ステロイドに最初からシクロフォスファミドの点滴を併用する方が予後が良いなど、それぞれの病態に応
じた治療を行う必要があります。

 

 

全身性エリテマトーデスと日常生活の注意点

全身性エリテマトーデスは基本的には寛解と増悪を繰り返す慢性の疾患です。そのことを良く知って、再発を引き起こす可能性を出来るだけ避けるような生活が重要です。

 

病気の活動性が高い時には安静が必要です。活動性が高くなく、日常生活が普通に行えるようになっても、過労、感染、日光への長時間の暴露などを避けることは重要です。

 

日焼け止めクリームはいつも携帯し、必要に応じてすぐに使用するとともに、日常生活上も紫外線を避ける工夫をする必要があります。レイノーの症状がある場合は、家事、外出時などに手先が冷たくならない工夫も必要です。

 

ステロイドを服用すると、食欲が増加することが多く、それにまかせて食事をすると、体重の増加、顔、肩、腹部などへ皮下脂肪が沈着してしまうことにもなります。食事の量の調節も重要です。

 

これは、高血圧、高脂血症、糖尿病の予防にとっても必要です。食事全体にはバランスよく摂るようにし、腎病変、心病変、高血圧、糖尿病、高脂血症などの合併症がある場合は、栄養士などによる食事指導を受けることも重要です。

 

 

また特に最近になりSLEは動脈硬化と関係があることが指摘されています。この点でも、肥満の防止、血圧、高脂血症などへの意識とともに禁煙もとても重要視されています。

 

既に述べたように、ステロイドや免疫抑制薬を服用していることから、感染には注意が必要です。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなどは積極的に行い、流行時での外出の制限、外出時のマスクの着用や帰宅後のうがい、手洗いなどを心がけることが必要です。

 

 

また、感冒などの後にも肺炎などの合併に注意し、必要に応じた適切な医療機関への受診が重要です。虫歯も含めた口の中の衛生にも注意が必要です。

 

ステロイドを服用していると、量にもよりますが、本来ステロイドを作っている副腎の機能が低下しています。手術などの過度なストレスの時には、いつもより多くのステロイドが必要ですが、副腎の機能がこれに追いつかないことがあります。

 

従って手術などのストレス時には、普段服用しているステロイドより多い量を服用する必要があります。これをステロイドカバーと言うことかおりますが、こういう時にどうするかは、主治医にアドバイスを受けておく必要があります。

 

妊娠、出産も再発や活動性を高めることがあるので、全身性エリテマトーデスの活動性が抑えられていること、しっかりとした医療体制のもとで観察すること、などが満足しなければ、妊娠を避けるような努力が必要です。

 

病気の活動性が高い状態で妊娠した場合は、妊娠中や産後に症状が悪くなる可能性が高いだけでなく、高血圧を合併する可能性も高くなり、子宮内胎児発育不全、早産などにつながることが多くなります。

 

避妊に関しては、性ホルモンが全身性エリテマトーデスに関係することから経口避妊薬は控える必要があります。またこれとは違う理由ですが、抗リン脂質抗体症候群を伴う場合は、血栓の副作用も高くなるので経口避妊薬は使用しないようにすることが大切です。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加 

スポンサーリンク